宇宙開発の専門家である野田さんと構想を議論し始めてまず驚いたのは、通常の乗り物とは全く計画の手順が違うことでした。いわゆる商品として乗用車やバイクを計画するときには、目標となる運動性能や人や荷物の積載量、使い方などを検討する所から始めます。
有人ロケットもそこが決まらなければ、デザインできないのは同じですが、最初に野田さんが始めたことは「行く先」を決めることでした。数百ある小惑星の軌道と地球との位置関係から、それぞれの小惑星に最も短い時間で行けるタイミングを、2020年から40年間に渡ってシラミ潰しに計算して行くのです。目標はできるだけ少ない燃料で、できるだけ短い時間で(できれば6ヶ月以内で)帰って来れるルートを探すこと。
考えてみれば、1回しか使わないロケットを設計する以上、当たり前のことだったのですが、これまで私がデザインしてきた乗り物の行き先や出発日は買った人が決めるものだったので、あまりに計画手順が違って感動しました。